家事の最中、世界征服することをふと思い立った主婦は、その日からへそくりを貯め始めた。
唐揚げのことを考えていたら流れてきた涙が、レモンの味だった。
バグの修正のため、天気雨が降り続いている。
明け方の街の空に、カラスたちが操縦するUFOが集まってきて、残飯を吸い込んでいく。
地球が滅びた後、地球の神様の首に銅メダルがかけられた。
夏の暑い日、蝉が「再起動してください」と鳴いているが、なにせとても暑いので、誰も再起動しに行こうとしない。
日食の日、地球が月に嫉妬して、海水温がどんどん上昇していく。
天井裏で飼っている狼は、僕が毎晩眠る時に数える羊を食べて生きている。
噂話された時に出るくしゃみを抑える薬を買っていった人がいて、どんな噂をされてるんだろね、と皆で噂する。
健康診断の蝶力検査で飲まされた、スポイト一滴分の花の蜜が、去年よりおいしくなっている気がする。
蝶を売っている自販機の光に蛾が集まってくる。
いつもデートの時は母親の位牌を持ってくる彼女が、今夜はそれを持ってきていない。
給料日にだけ、父は人魚になる。
かつて、地面を白いチョークで塗りつぶし、地球を白くすることを夢見ていた少年は今、黒の油性マジックを握りしめている。
青空の真ん中に、神様の浮気相手が残していった雲がぽつんと浮かんでいる。
後輩がうちの会社を辞めて、蝶を作る工場に転職するというので、蝶製造は給料少ないらしいじゃないか、と俺が言うと、彼は照れ笑いを浮かべて、カミさんが庭に花壇作ったんすよ、と答えた。
神様が顕微鏡を覗き、ピンセット片手に、天国の様子を観察している。
月にある動物園には兎がいない。
母がくれた誕生日プレゼントは、今年も初雪だった。
今日もその老人ホームでは、老人たちを笑顔にするために、地球が爆発した時の映像を流している。
たこ焼き屋の店主は蛸と将棋を打つことが趣味で、自分に勝った蛸から、たこ焼きの具にしている。
その図書館の救護室には、詩の読み過ぎで気分を悪くした人のために、六法全書が置かれている。
今月は夜勤の際、月が綺麗な夜が多かったので、その分給料がちょっと少ない。
軒下の蜘蛛の巣に引っかかっている蝶の翅に半額シールが貼られていた。
雨雲の素を買ったら、試供品のてるてる坊主が付いていた。
今日も朝の庭に、小鳥の鳴き真似をするおじさんたちが集まってくる。
来世はナメクジに生まれ変わりたいと、そのカタツムリは考えている。
その書道家は遺書を書く時、全ての文字の書き順をあえて間違えて書いたそうだ。
街を歩いていたら、心臓が剥き出しの人に、心臓にサインして欲しいと言われ、サインをしようとするが、力加減が難しい。
父の幽霊は母の咳払い一つで消えた。