毎日救急車のサイレンの音を口真似しながら町内を走り回っていたおじさんが、ある日救急車で運ばれていった。
数年前、自身の母親の遺影を持って美容整形外科を訪れた女性が、今度は娘の遺影を持って再び訪れた。
良いことをしたくなった青年が、父親が造っている偽札を一枚盗み、コンビニの募金箱に入れた。
親戚たちの羽音も遠ざかり、墓地には羽のない私だけが残された。
悲しみの標準値を決める役人が、自身の母親の葬儀会場で、参列者に何かを訊いて回っている。
夜空を見上げると、昨夜まで月があった場所に、札束が浮いている。
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