彼女の部屋に、ポイントカードがあった。「何のポイントカード?」「恋」「恋?」「あと三回恋したら、スタンプが一杯になって、高級コスメをもらえるの」彼女は言った。俺は彼女と別れることにした。高級コスメでますます綺麗になった彼女を見たかったからだ。
孤独だった人
友人の結婚披露宴に出席した。ご祝儀を受付に出すと、受付のスタッフが、「会場にお入りになる前に、これを」と言って、一本の注射器を手渡してきた。注射器の中には黄金色の液体が入っていた。俺はスーツの腕をまくり、それを注射してから、披露宴会場の扉を開けた。中にはすでに大勢の人々がいて、談笑していた。俺は自分の席に座った。昔の同級生と同じテーブルだった。昔話に花を咲かせていると、やがて会場の灯りが落ちた。司会の女性が「それでは新郎新婦の入場です」とアナウンスした。スポットライトが照らす方を見ると、タキシードを着た友人と、ウェディングドレスを着た美しい新婦が手をつないで会場に現れた。みんなが一斉に拍手をした。俺は「おめでとう!」と叫んだ。友人が俺に気づいて、新婦と顔を見合わせて、照れ笑いを浮かべた。幸せそうだった。何だか泣けてきた。ずっと孤独だった友人を知っていたからだ。その後、新郎新婦のなれそめをまとめたビデオが流れたり、友人の上司のスピーチ、新婦からの両親への手紙の朗読などが行われた。俺は美味しい料理を食べ、酒を飲み、涙を流していた。式が終わった後、俺は真っ先に友人に駆け寄った。そして友人を抱きしめようとした。その時、受付で注射した液体の効果が切れた。俺は誰もいない、壁や天井がボロボロの小部屋で、泥の塊を抱きしめていた。そうだ。俺には友人などいない。ずっと孤独だ。帰る時に、さっき出したご祝儀を回収するのを忘れないようにしなきゃ。