超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

うたた寝

 雲が出ているわけでもないのに、影が薄い。と思ったら、太陽がうたた寝していた。おおい、と大声で叫んでみたり、手を叩いたりしてみたが、聞こえないらしい。子どもの頃は、空を見上げて、太陽さーん、と言うだけで気づいてもらえたものだが。私もそういう年になったようだ。近所の幼稚園に行き、子どもたちの声で太陽を起こしてもらうよう頼んできた。お遊戯の時間が終わる頃には、影も元の濃さに戻っていることだろう。