超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-10-25から1日間の記事一覧

掌編集・八

(一) 生まれたときの記憶が少しある。 大勢の足音が私の周りに錯綜している。その足音の隙間に「電池、電池」という甲高い叫び声が聞こえる。ほどなくして体の中にガチャンガチャン、という音が響き、直後に私は大声で泣いている。 それだけの記憶だ。 今…