ワイングラスの中で揺れる私の魂を、その男はしげしげと眺め回していた。
どうやら食べられるところを探しているらしかった。
男は長い時間そうしていたが、振り子時計が鳴る音とともに突然諦めたような顔になり、執事に小さなスプーンを持ってこさせた。
そして私の魂の上澄みを申し訳程度にすくい、小さなため息とともに口に運んだ。
恥ずかしそうにうつむく私を見て、男は慌てて微笑み、紋切り型のお礼と言い訳を並べ、食べ残した魂を私の中に戻した。
逃げるように男の屋敷を後にし、私は次の食卓を目指して歩み始めた。
少し食べられたはずなのに、魂は前より重たくなったようだった。