超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

誘う目

 女性の目が好きだ。
 だから俺が恋人の写真を撮ると、自然と顔のアップが多くなってしまう。
 ある日彼女がアルバムをめくりながら、「○○君って、食べられない部分ばかり撮るんだね」と言って笑った。
「アルバムめくるたびにお腹空いちゃうから?」
 俺はただ黙って頬笑みつつ、育ちの違いというものをしみじみ噛みしめていた。