2017-11-20 ゆうべの歌 マリコからきいた話 ゆうべの私の鼻歌に誘われてきたらしい一艘の船が、浴槽の残り湯にぽつんと浮かんでいた。 またやってしまった。 船の上の人々は、ぼんやり立ち尽くす私を見上げてぴーぴー何かわめいているが、申し訳ないけど私にはどうすることもできない。 なるべく船の方を見ないようにして、一思いに風呂の栓を抜いた。 シャワーヘッドにとまったカモメの群れが、哀れむような目で私を見つめていた。