草一本生えていない大地に塔が建っていた。
そのてっぺんの部屋に、王様の格好をした私が佇んでいた。
きらびやかな装飾の服は窮屈で、床も壁も冷たかった。開け放たれた窓から風が吹き込んできた。鉄と火薬のにおいがした。
大地も空も黒っぽくくすんでいて、どちらも同じ色に見えた。
空のとても高い場所から、鋭い鳥の声が聞こえてきた。私は、もうこの塔に残っているのは私だけなのだと悟った。あれは、妻や娘や友人たちの亡骸をついばみにきた鳥の鳴き声なのだ。
私は窓から身を投げた。生ぬるい風が全身を包み込み、私はまっさかさまに落ちていった。頭から地面に激突した瞬間、目が覚めた。
「うなされてたよ」
「やな夢を見た」
「土」
「え?」
「土ついてる。つむじに」