超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ぎゅっ

 あてどなく歩いている時、霊柩車を見かけたので、ポケットに手を入れ、恋人の死体から切り取った左手の、親指を、ぎゅっと握りしめた。