超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

枯葉

 大通りの白い道に、「枯葉色」のチョークが等間隔に並べられていた。ああ、いつの間にかもうそんな季節か。道行く人々がチョークを手に取り、楽しそうに地面に色を塗っている。せっかくだから、私も一本。その場にしゃがみ込み、地面を「枯葉色」に染めていく。本物の「枯葉」とやらは見たことがないけど、こうやって地面にその色を塗っていると、秋が来たんだなぁ、としみじみ実感する。夢中で色を塗っていたら、友人との約束の時間が迫っていた。慌てて立ち上がり、大通りを小走りで急ぐ。一面「枯葉色」に染まった道の上に、コツコツとハイヒールの音が響く。本物の「枯葉」は、踏むと独特の音がしたらしいが、どんな音だったのか想像もつかない。急ぎ足で大通りを行く私の横を、荷台に夏のマークが描かれた大型トラックが列になってすれ違っていった。