超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 友人の家に泊まりに行った時に指摘されて初めて知ったのだが、俺の眉毛は、俺が寝ている間、どこかに出かけているらしい。
 朝目覚めると、時々、描いた覚えも剃った覚えもないのに、眉毛が太くなったり細くなったりしていたことがあったのだが、それは眉毛がどこかで派手に遊んだか呑み過ぎたかのどちらかなのだと合点がいった。
 しかし俺だって眉毛だってもういい年だ。いつまでも遊んでいられない。
 もし今後俺に会った時、目の上に眉毛が三本も四本も余計に生えているのを見たら、眉毛に何かおめでたいことがあったのだと思ってそっと祝ってほしい。