超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ドミノ

 喫茶店の隅の席で、若い母親がベビーカーに向かっていないいないばあをしている。
 母親が「ばあ」と手を広げるたびに、ベビーカーの中から笑い声が聞こえてくる。
 微笑ましい光景だが、ベビーカーの中から笑い声が聞こえてくるたびに、喫茶店のすぐ傍の交差点から急ブレーキの音が響いてくることには気づいているのだろうか。

 まぁ、気づいているんだろうな。