超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

洗濯機の使い方

 ペットショップで殺人鬼が売られていた。人懐っこい殺人鬼で、俺がケージを覗くと、俺の首を絞めようとして手を伸ばしてきた。先日、ペット可のマンションに引っ越したことだし、つぶらな瞳が気に入ったので、飼うことにした。ペットショップの店員によると、この殺人鬼には洗濯機の使い方を覚えさせたらしい。助かる。返り血のついた服を俺がいちいち洗わなくても済むということだ。ケージと鎖と手錠の他に、出刃包丁と鈍器も買った。餌は餅やアップルパイが好物とのことだった。名前をどうしようかな、と考えながら自宅へ帰ったら、早速殺人鬼が俺を殺そうとしてきた。残念。俺は死ねないんだよ。