超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

街灯

 夜道を歩いていた。街灯の下に、手袋が落ちていた。歩いていくと、次の街灯の下に、手首が落ちていた。その次の街灯の下には、靴が落ちていた。その次の街灯の下には、足首が落ちていた。その次の街灯の下には、コートが落ちていた。その次の街灯の下には、胴が落ちていた。その次の街灯の下には、帽子が落ちていた。「おっ」と思った。しかし、その次の街灯の下にも、その次の街灯の下にも、落ちていてしかるべき物は落ちていなかった。何だか、薄気味悪かった。