2019-01-12 晩酌 トモコからきいた話 晩酌の肴にかじっていたスルメイカが、口の中の歯車に挟まった。鉄の指を口の中に突っ込んで、問題の歯車を探る。ああ、あった、これだ。歯車からイカを引っこ抜き、ほっと一息ついて、酒を流し込んだところで、ふと思い出す。確か二、三百年前にも、似たようなことがあった。まだ俺の全部が肉と骨で出来ていた頃の話だ。でも、独りの晩酌の寂しさは、あの頃とちっとも変わらない。俺はあと何年生き続けるつもりだろう。