授業中、前の席の女子の髪の毛の一本が、窓の外のUFOの動きに合わせて動いているので、つまんで引っ張ったら、窓の外から爆発音が聞こえてきた。
神様に地上のレモンを全て没収された翌日、酸っぱい雨が降ってくる。
お風呂で上機嫌で歌っている母に、「空にUFO集まってきてるよ」と注意する。
ペットに玩具として与えた惑星でちょっと文明が進みすぎている。
今日の入道雲はバーコードのある方がこちらを向いているからはずれだ。
コインランドリーの大型乾燥機で回る私の下着の動きに合わせ、ぐるぐる飛び回っていた人魂が、突然、立ち眩みを起こしたかのように、ぽとりと地面に落ちた。
詩を書くことをやめたら、頭に蝿がまとわりついてこなくなった。
悩んでいたので、冷凍の哲学者を冷凍庫から取り出し、レンジで解凍したが、解凍時間を間違えて、温めすぎた哲学者の気味の悪い笑い声を聞くはめになる。
空からタイムカードを打刻する音が聞こえてきたので、この雨ももうじき止むだろう。
UFOと胃カメラの追いかけっこを画面越しに眺めながら、腹部に広がるかつてない快感に気絶しそうになっている。
止まない雨が降る中を、スピーカーから「てるてる坊主が不足しています」というアナウンスを流す軽トラが、ゆっくり走っている。
毛生え薬で満たされたプールで、床屋の店主の溺死体が発見された。
ドラッグストアのムダ毛処理用品の棚に、ダイナマイトが置かれていた。
宇宙服を着た兄と潜水服を着た弟が、母の骨壷を挟んでじゃんけんをしている。
俺が送ったメールが深夜ラジオで読まれたのを聴くと、お袋の幽霊はすーっと消えていった。
夜、母の財布から金を抜いて自販機へ行くが、浮気を許してくれそうな男は売り切れている。
荒野の果てに立っていた謎の塔の正体が爪楊枝だと判明し、地球は試食品である可能性が出てきた。
また祖父が影を神社に忘れて帰ってきた。
今日は空で雲将棋が行われているので、東西から交互に吹いてくる風が気持ちいい。
炊き立てのご飯の香りがする香水をつけた女が、梅干しを握りしめながら、男が来るのをじっと待っている。
立ち読みの指南書を立ち読みする。
おっさんが哺乳瓶を飲みながら運転している軽トラとすれ違った時、その軽トラの荷台に、巨大な赤ん坊のはりぼてが載っていることに気づく。
手術当日の朝、僕に繋がれた点滴袋をふと見ると、薬の中を泳ぐ鯨が、僕を励ますように潮を噴いた。
実験動物代表として、博士の結婚式のスピーチをする。
終電に乗ったら、車内にいる人々が全員独り言を呟いているので、私も独り言を言おうとするが、何も浮かばなくて焦っている。
巨大な金塊の重みで粉々になった賽銭箱を、神社の宮司が呆然と見つめている。
蝶の教習所に造花を納品する。
一枚の栞を持った宇宙飛行士が、書物で出来た惑星に降り立った。
そこの自販機でピアニスト買ってきたから、お前の曲で一服しよう。
父が降らせる雨は決して犬を濡らさない。