超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2024-01-04から1日間の記事一覧

自販機

冬の夜、中の人が貧乏ゆすりをしているらしく、シャボン玉の自販機が、細かく震えている。

フード

近所を散歩中、突然雨が降ってきたので、パーカーのフードを被ると、フードの中から、ばさっ、と「遺書」と書かれた封筒が落ちてきた。

入道雲

今日の入道雲はバーコードのある方がこちらを向いているからはずれだ。

念仏

死体で遊んだあとの息子が手洗いをしながら、舌足らずの念仏を唱えているのを聞いて、思わず笑みがこぼれる。

火葬場の煙突にしがみついて鳴いていた蝉が、ふいに死んで落ちてくる。