独房の壁に血で描いた女と見つめ合っているうち、初恋というものが理解できた気がしてきた。
夜の墓場で墓石を舐めていた野良犬が、突然二本足ですっと立ち上がった。
鏡に一匹の蟻が這っていて、先日私が除去した目元のほくろのフリをしている。
海を避けるように線路が引かれている私鉄の電車のつり革に、鱗が一枚、くっついていた。
一枚の栞を持った宇宙飛行士が、書物で出来た惑星に降り立った。
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。