超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

そういうわけじゃないけど

 朝食を食べながらテレビを観ていた。星座占いのコーナーが始まった。私の星座がランキングの最下位だった。少し嫌な気分になった。でもこの後ラッキーアイテムの発表がある。それを持っていれば大丈夫だろう。ラッキーアイテムは、首吊り縄だった。家の中で手ごろな縄を探すと、縄跳びの縄が出てきた。それで首吊り縄を編み、鞄に入れて、会社に行った。昼休み、それが後輩に見つかり、先輩死ぬんですか、と訊かれた。そういうわけじゃないけど、と私が言うと、じゃあ私が貰っていいですか、と後輩は言った。あんた死ぬの、と私が訊くと後輩は、それ今日の私のラッキーアイテムなんです、と答えた。