超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 双子の兄を連れて、母親は失踪した。父親はいなかった。双子の弟は母親の残り香が漂う布団に顔を埋めて、「どうしてぼくじゃないの」と泣いた。母親の鏡台に、花占いをした跡が残されているのには気づかないまま。