超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

荷札

 気がつくと手の指に荷札がくくりつけてあり、足が勝手にどこかに向かって歩き出している、ということが頻繁に起こる。荷札は簡単に外せて、外せば足も止まるが、そのうち外せなくなるんじゃないかという恐怖が漠然とある。荷札に書かれている文字はどこの国のものともつかない文字で、どんな内容が書かれているかはわからない。ではなぜそれが荷札だとわかるのかといえば、それがいかにも荷札らしい形をしていることと、先述の勝手に歩き出す足ゆえだ。どうも太陽を目指して歩いているような気もする。