超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ジュース

 朝起きたら、見慣れているはずの一人暮らしの部屋が、やけに広く感じた。外に出ると、すれ違う人々がみな俺に「ご愁傷様です」と言って頭を下げてきた。あの部屋で俺は今まで何と同居していたのか、それはなぜ死んだのか、なぜそのことをみなが知っているのか。何もわからないまま自販機でジュースを買ったら、ルーレットが当たり、もう一本ジュースが出てきた。二本のジュースを持って一人の部屋に帰った。