2012-10-08 ヒトデと漁師 トモコからきいた話 死んでしまいたいと思いながら、砂浜を歩いていた。 夕日を溶かした波のかたまりが海のあちこちで萌えていた。 笑い声が聞こえた。 ふと前を見ると、疲れた顔の漁師が砂の上にうつ伏せになり、ヒトデとジャンケンをしていた。長いあいこののち、漁師がグーで負けた。漁師はぷっと吹き出し、ひとしきり泣いて、何事もなかったかのようにジャンケンを再開した。 誰も乗っていないバスが、私たちの横を通り過ぎていった。