超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

歯型

 朝起きると二の腕に歯型がついていた。

 寝ている間に自分で噛んでしまったらしい。

 何だかよくわからないが、とりあえずいつものように洗面台の前に立ち、顔を洗っていると、頭の上から「痛いから噛まないでください」という声が聞こえてきた。

 恐る恐る顔を上げると、鏡の中の自分が二の腕をさすりながらうつむいて泣いていた。