超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 車に轢かれた猫の死骸を見ながら、道端でお婆さんが「うちの猫が……」と泣いていたのだが、よく見るとそれは我が家の猫だったので、「いや、あれはうちの猫ですよ」と言うと、お婆さんは泣きやみ、私の顔に唾を吐いてその場から立ち去った。