超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

新しい

 産婦人科のある一室、生まれてくる赤ん坊のために、真四角の新しい影を、赤ん坊の形に切る人たち。自らの影はよれよれですっかりくたびれているが、その手振りは確かだ。新しい影の糊の匂いが、狭い部屋に満ちている。