超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2022-02-17から1日間の記事一覧

新しい

産婦人科のある一室、生まれてくる赤ん坊のために、真四角の新しい影を、赤ん坊の形に切る人たち。自らの影はよれよれですっかりくたびれているが、その手振りは確かだ。新しい影の糊の匂いが、狭い部屋に満ちている。

付録

「月刊××子」の今月の付録は左手の薬指だったので、売れ行きが好調だった。

面倒

私がバイトするコンビニは、毎日必ず午前4時44分と午後4時44分に、誰もいないのに自動ドアが開くという現象が起こるのだが、明け方の方は絶対に反応してはならず、夕方の方は「いらっしゃいませ」と言わなければいけない決まりがある。面倒だから辞めようと…