超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 夕方、点滴を抱えた一匹の蛙が、田んぼの群れの中へ消えていくのを見た。「あいつ、今日で最後なんだよ」じいちゃんが言った。ぼくらは二人で耳を澄ませた。鳴り響く蛙たちの声を聴いてじいちゃんは涙を拭っていたが、ぼくにはどれがどれだかわからなかった。