超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 電車に赤ん坊を連れた若い女性が乗っていた。女性の腕の中で赤ん坊は身じろぎ一つしなかった。おとなしい子だ、と思いながらよく見ると、赤ん坊の背中のファスナーが開いていて、中はがらんどうだった。何だ、中身はいないのか。おとなしくて当然だ。女性は無人駅で下りていった。