超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

窓辺

 小銭でも落ちてねえかなあと思って、視界に入るすべての自販機の釣り銭口に指を突っ込んでいたら、ある寂れた自販機の釣り銭口から、指を突っ込んだ拍子に小さな蝶々が出てきて、そのままふらふらと飛び去っていった。これはいいことをしたのだろうか。したと思おう。何となくすがすがしい気分で歩いていると、道ばたに綺麗な花が咲いていた。摘んで持ち帰り、窓辺に飾った。蝶々が寄ってきてくれる種類の花だといいな、と思っているが、調べるほどの気力はない。