超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ほかほか

 道を歩いていたら、ほかほかの骸骨とすれ違った。全身から湯気を立てながら、ずいぶん急いでいた。ほかほかの骸骨のやってきた方を見ると、火葬場があって、その煙突に、縄ばしごがかけられていた。あいつはあれを伝ってやってきたらしい。骸骨はどこへ行くつもりだろう。少し考えて、骸骨の向かう方には海があることを思い出した。振り返るとすでに骸骨はいなくなっていた。しばらく耳を澄ましていると、海の方から、じゅじゅっ、と小さな音が聞こえてきた。