超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

時給

 お昼頃、朝から降り続いていた雨がふいにやんだ。空を見上げると、雨雲から縄ばしごが垂れていて、そこから次々と作業服姿の人たちが降りてくるのが見えた。作業服の人たちは地面に降り立つと、めいめい牛丼屋や定食屋に入っていき、午後1時ちょっと前に再び現れて、縄ばしごを使って雨雲の上に消えていった。それからほどなくして雨が降り始めた。家に帰ってネットで調べたら、ファミレスの時給と同じくらいもらえる仕事らしい。高いのか安いのかよくわからなかった。