超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

帰郷

 今朝、軒下にある蜘蛛の巣に、図鑑でしか見たことのないような美しい、大きな蝶が引っかかっていた。
 こんな蝶が近所にいるのかと不思議に思いながら家を出ると、いかにもよそゆきといった洋服に身を包み、たくさんの標本箱を抱えた巨大な蜘蛛が、お隣の家にそっと入っていくところに出くわした。