超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

手術

 手術台の上で開かれた体の中に、青空が広がっている。蝋人形のように固まって動けない医者の持つメスに、小鳥がとまってちちちと鳴いている。心電図はそよ風のように穏やかだ。開かれた人はとてもいい顔で眠っている。どんな夢を見ているのだろう。開かれた体の青空のどこかから葉擦れの音が聞こえてきて、手術はいつまでも終わらない。