超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 電車が墓地の横を通るたびに、腕の中の赤ん坊が重くなっていき、目的の駅に着いた時には、赤ん坊は石の人形に変わっていた。こうなってはもう世話をすることもできまい。そう思った途端、乳房がぺたんと萎んでしまった。もうだめだ。赤ん坊を駅員に届けて、洋梨を買って帰った。石の赤ん坊は今も駅の落とし物コーナーに置かれている。