何を入れたか忘れてしまった小さな金庫。鍵をしまった場所もダイヤル番号も忘れてしまった小さな金庫。仕方なく押入の奥へ押し込んだ後、いつの間にかなくなっていた小さな金庫。そんな金庫を最後に見た時から、もう二十年以上経つ。時折こうしてその存在を…
電車が墓地の横を通るたびに、腕の中の赤ん坊が重くなっていき、目的の駅に着いた時には、赤ん坊は石の人形に変わっていた。こうなってはもう世話をすることもできまい。そう思った途端、乳房がぺたんと萎んでしまった。もうだめだ。赤ん坊を駅員に届けて、…
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