超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ベランダにて

 帰り道、ふと見上げると、夜空に伸びる長いハシゴを、デッキブラシを抱えたおじさんがゆっくり登っていくのが見えた。
 この辺りの星も掃除されることになったらしい。
 家に帰り、まっさらになっていく夜空を眺めながら、ベランダでちびちびとビールを飲んだ。
 星にも夜空にも特別な思い出があるわけではないけど、まあ、何となく。