超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

生もの

「生ものの荷物が届くから受け取っておいて」
 と言い残し、母は出かけていった。
 夕方頃、大きな段ボール箱が届いた。生ものって言ってたな、と思い蓋を開けると、背中にマスタードケチャップをかけられたおじさんがうずくまっていた。
 とりあえず冷蔵庫の横に置いて母の帰りを待っていたが、夕飯の時間になっても帰ってこない。思わずぐぅ、とお腹を鳴らすと、暗闇の中でおじさんがびくっとしたのがわかった。