超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2022-11-06から1日間の記事一覧

実家が火事になったと妹から電話があり、急いで駆け付けると、無傷の実家の前に妹がぼーっと立っていて、「大丈夫?」と問いかけた瞬間、妹は「お姉ちゃんの勝ち」とつぶやいて、立ったまま足元から灰になっていった。

浮標

母が味噌汁を作った鍋の中に浮標が浮かんでいて、その浮標から向こうへはお玉を入れてはいけない。

おばあちゃんと散歩中、おばあちゃんが風を嗅いで、「どっかで女を焼いてるねぇ」と言った。「どんな女?」「女に惚れていた女だねぇ」