超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2022-04-16から1日間の記事一覧

午後七時

「女子小学生の涙で育てました」とラベルの貼られた一輪の赤い花を、サラリーマン風の男がそっと買っていく午後七時。

頼み

なあ、実は、お前が俺んち来るたびに、仏壇の姉ちゃんの遺影が、頬を赤くするんだ。お前さえよければなんだけど、付き合ってやってくれないか?

医師である父は、手術の執刀日だけ、朝のテレビの占いコーナーを観る。