超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2022-01-01から1日間の記事一覧

年賀状

年賀状が届いた。今年は眼年だから、どの年賀状にも目玉が描かれている。並べると、たくさんの眼がこちらを見て少し怖い。来年は血年だ。本物を塗る人がいるんだろうな。

母が夕飯をテーブルに並べると電話がかかってくる。出ると知らない男。「いただきます」それだけ言って電話は切れる。何十年も前から続く現象だ。ぼけた祖父は声の主を見たことがあると言っている。それを見たから祖父はぼけたのかもしれないと叔父は言う。