超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

床屋

行きつけの床屋のおじさんはいい人だけど、毎回髪を切りに行くたびに、髪といっしょにぼくの触角をつまんで切ろうとするギャグをやってくるので、ちょっとうっとうしい。

求人

求人誌をめくっていたら、動物園が人を募集していて、「健康な方、履歴書不要」と書いてあったので、よく見ると餌の求人だった。

ニオイ

アー、スミマセン、アナタ、呪イ、ニオイ、シマス、ニオイ、シマス、呪イ、便利、デモ、タクサン、ダメヨー。

扇風機

亡くなったおばあちゃんのパーツを一部に使った扇風機が、葬儀の後しばらくしてから送られてきた。時折お父さんが、その風を浴びて、泣きながら寝ている。

月光

月の光が弱くなってきたので、でっかいピーラーを積んだロケットが月へ飛んでいく。剥かれた皮は海に落ちて、クラゲの餌になるそうだ。

ガムテープ

仕事で訪れた雑居ビルのエレベーターは、一番上の階数ボタンの横に、ガムテープの切れ端が貼られていて、汚い字で「自殺 ヤメテ」と書かれている。