超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2021-06-09から1日間の記事一覧

ささやき

祖父が一人で寝ている部屋から夜中、話し声が聞こえてきたので、そっと襖を開けて中を覗くと、死んだはずの祖母が祖父の耳元で「持っていきますね、持っていきますからね」とささやいていて、次の朝、祖父は冷たくなっていた。

無駄

「おばあちゃん、無駄だよ」私が祈りを捧げていた仏像を取り上げて孫は、仏像の足の裏に刻まれた数字を指した。「使用期限」と書かれていた。