行き先の湖の名を告げてタクシーの座席にもたれると、運転手が陽気な声で「お客さんも自殺ですかぁ?」と尋ねてくる。顔を見ると、運転手には白目がなかった。「見ててもいいですかぁ?」
母が笑顔で「早く飲みなさい」と勧めてくる濁った味噌汁の底から、ごぼごぼとあぶくが吹き出している。ぼくはそっと母を見る。「ほら、早くしないと、死んじゃうわよ」
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