親戚たちの羽音も遠ざかり、墓地には羽のない私だけが残された。
悲しみの標準値を決める役人が、自身の母親の葬儀会場で、参列者に何かを訊いて回っている。
夜空を見上げると、昨夜まで月があった場所に、札束が浮いている。
動物園のシマウマの飼育員が、ホームセンターで、思い詰めた顔で白いペンキを見つめている。
遺書雑誌の袋とじのグラビアで、綺麗な女性アイドルが遺書を踏んづけていた。
虹で遊んでいた子どもたちの爪がどす黒く汚れている。
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