超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

くちばし

 ある朝起きたら、のど仏のあった場所に、鳥のくちばしが生えていた。黄色くてかわいいくちばしだ。このくちばし、普段はうんともすんとも言わないくせに、俺が他人の悪口を言っている時だけ、ぴーちくぱーちく鳴きやがる。いさめているのか、それとも賛同しているのか。いまだによくわからないまま、今日も俺は昼飯のパンをちぎってくちばしに与えている。