超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 腹に爆弾を巻いた少年が、通りを歩いている。少年が引きずる長い長い長い導火線の先端には、火が点いている。男が少年とすれ違う。「火を貰うよ」男は言う。少年は頷く。男は導火線の先端の火を煙草に移し、少年を見送る。あの爆弾がこの街では爆発しないことを男は知っている。