超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 ベランダに出ると、床に乳歯が落ちていた。またどこかの子どもが投げ入れたらしい。健やかな成長は喜ばしいが、なぜこの町の子どもはみんな、抜けた歯を我が家のベランダに投げ込むのだろう。曾祖母の代からそうで、最近では歯医者のパンフレットにも載っているそうだ。