超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

おじいさん

 いつも同じ場所に立って笑っているおじいさんが、突っ込んできた車にはねられるのを見た。おじいさんの足の裏には根が生えていて、ぶちぶち、と音がした。「あああ……」おじいさんは地面に倒れると同時に木になった。車の中では二人のおじさんがハイタッチを交わしていた。