超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 夜、聴いていた音楽を止め、ヘッドホンを外すと、外からシュコッ、シュコッ、という音が聞こえてきた。ああ、もうそんな時期か。カーテンを開けると、案の定、夜空の真ん中で、うちの親父が、萎んだ月を空気入れで膨らませていた。みんなのために、地球のために、いつもご苦労さん、親父。俺もテスト勉強再開するかな。あれが満月になったら。